8歳上のパパ【長期更新停止中】







「――美未ちゃん、いいの?
まだ彼、こっち見てるけど」


戻って来たあたしに、篠原さんが心配そうに声を掛けてくる。



――これで……いいんだ。

今ならまだ、引き返せる。


ただ単に、あたしが彼を好きなのをやめればいいだけ。

そうすれば、家族として、一からスタートできる。



そんなの、最初からわかっていたことじゃない。


彼は、ママの旦那さんとしてウチにやって来たんだもん。

あたしが入る隙なんて、どこにもなかったんだ。



好きになっちゃ、いけない人だったんだ――……。






グッと拳を握り、篠原さんと、いつの間にかそばにいた水野店長に笑いかける。


「大丈夫ですから」





……それからしばらくして、彼は会社の方へと歩いて行った。


空っぽのお弁当箱を持って。








< 70 / 314 >

この作品をシェア

pagetop