春に咲く柚
「よろしくお願いします」
一段と賑やかな校舎で、普段以上にテンションの高い友人の隣に、私は居た。


とても気だるい面持ちで。


「綺咲! 早く行こ!!」


水色水玉のリボンを手首に巻き付け、涼香ちゃんはとても嬉しそうに私の手を引く。


「そんなに急がなくても大丈夫だよ、涼香ちゃん」


そう言う私の手首にもリボンが巻かれている。


薄い藤色と白のストライプ柄のリボン。
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