夢を忘れた眠り姫
返答しながら貴志さんは食器棚に近付き、カップラーメンを取り出すとカウンター上に置いた。


……彼は私よりさらに手抜きメニューで済ませるつもりなんだな。

常にあんな感じなのか、それとも今日は彼も私の引っ越しに立ち会って気疲れしたから料理する気分になれないだけなのか。

って、ジロジロ観察してたら失礼だよね。


「えっと、それでは…」


余計な考えは追い出して、私は彼に問いかけた。


「貴志さんが夕飯を食べている間に、私がお風呂に入っちゃった方が良いでしょうか?」

「そうだな。そうしてもらえる?」


そこでお風呂と洗濯機の使い方を教わる事になった。

といっても、お風呂は幸せ荘よりも断然新しいタイプで操作も楽だったし、洗濯機もメーカーは違えど私が以前使っていたのと同じ全自動なので、ちょろっと説明を受けただけですぐに理解できたけど。

ひとまず初回はご教授願わないとね。


「さてと」


メイクを落としてから、いざ入浴。

私はいつもまずは洗面器に洗剤と漂白剤を溶かしてそこに下着や肌着、ストッキングや靴下等を付け置きし、そして他の衣類は洗濯機に放り込んでから浴室に入るのだけれど、ここでもその習慣を続ける事にした。

そしてあれやこれやを済ませてお風呂から上がって、着替えてバスタオルと頭に巻いていたタオルも洗濯機に入れてからスイッチを押す。
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