レンタル彼氏


「もういいでしょ」
と言いながら美奈先輩が
教えてくれたのは
今日一緒に食事して
告白する予定だったと。


「え?商談はだめになったって」


あたしが聞くと
「商談?なにそれ
もしかして 嘘ついて誘ってたの?」
と美奈先輩は大笑い。


「そうでも言わないと
七瀬は来ないと思ったから」


「今日お店予約してんでしょ
もう行けば?あっ!まだ時間早いか
それなら時間まで愛を深めるとかぁ?
あはは」


意地悪そうに笑う先輩。


「お前・・・な・・・
いちいち言うなよ」


「べーつにぃ!いいじゃん!
だからさ 普通に誘っても大丈夫だ!
って言ったでしょ
あたしお互いの気持ち知ってたから
どっちかにチクってやろうかと
思ったりして楽しく見てたわ」


そっか
だから告ってみれば?とか
色々あたしに言ってたんだね。


「もう一つ言おうか?」


「なんすかぁ?」と食いつく翔太。


「主任今日が誕生日でしょ?
自分の誕生日に好きな人に
祝って貰おうなんてさぁ
考え甘いよね!」


誕生日?
かれこれ片思い1年なのに
誕生日知らなかった。


何も用意してないのに。。。


「誕生日・・・」
呟くあたしに
「どうしたの?」と聞く先輩。


「主任の誕生日って知らなかったから
何も用意してない」


「あれ?知らなかったの?
好きな人の誕生日」


「・・・うん・・・」


「何も無くてもいいんじゃない?
プレゼントはあ・た・し!って
リボンでも付ける?」


「いいっすねぇ!
円香がプレゼントなんて
嬉しくて死にそうだよ」
と 演技を始めると美奈先輩も
「主任・・・好きです」
と言い始める。


すると勝手に盛り上がる2人に
「黙れ!いい加減にしろ」
と主任が言うが2人は止まらない。


「おーい!いつまで無駄話してるんだ?
仕事開始しろ」
課長の一言で シーンと
静まり返ったのだった。


< 133 / 147 >

この作品をシェア

pagetop