雫に溺れて甘く香る
これが今の私たち
*****



そして雑魚寝で迎えた翌朝の事。


「何を考えてるのよ!」


そう言って、彼女にクッションでバフバフ叩かれている篠原さんを目撃した。

多分、篠原さん何かしたんだろうな。

そう考える私の横で、続木さんが呆れた顔で二人を眺めている。

「アレ、羨ましいか?」

「うん……たぶん?」

呟いたら、溜め息が返って来た。

「まぁ、いいか」

そう言って立ち上がると、私の腕を取るから彼を見上げる。

「帰ろう。少し予定は狂ったが、シャワー浴びたい」

それは私もかな。立ち上がって篠原さんに挨拶をすると、何故か皆でぞろぞろと彼の部屋を出た。

……あれ? 中野さんはともかく、どうして篠原さんや城島さんまでついてくるんだろ?

不思議に思って続木さんの顔を見ると、無言で首を振られた。

篠原さんの彼女……というわけでは、まだない、微妙なラインの関係ってことかな?

最寄り駅までぞろぞろと歩き、そこで別れると早々にタクシーに突っ込まれて家に帰ってきた。

「やっぱりうちは落ち着く~」

部屋につくなり、ペタリと床に座ってしまうと、続木さんはバスルームを一度覗いてから私を振り向く。

「かなり酔っぱらってたが、体調はどうだ?」

「うん? そうでもないよ? 私は何かやらかした?」

眉を上げながら瞬きしたら、彼は無言になってじっと私を見つめてくる。

え……何。私は何をやったの?
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