妖怪なんて見たくない!
視える人、視えない人








チュンチュンーーーー


「…………あれ?」


気が付くと朝だった。

(昨日帰ってすぐ、寝ちゃったんだ……)



久し振りに、昔の夢を見た気がする。


燈桜と歩積は昨日は遊ばずに帰ったみたいで。

私のことを気遣ってくれたんだなって分かる。



朝。

いつもより1時間も早く出てきてしまった。

でも家の門の前にいつもの妖怪たちはいて。

毎日早くから来てぺちゃくちゃしゃべってるんだろう。

でも、昨日柊木蘭に襲われたからか、
妖怪たちはおとなしかった。


「そんなに怖いのに、どうしてお見送りやめないの」

と聞くと。

『七波さまをお見送りするのが我らの毎日の楽しみなのです』

『退屈な世界なのです、妖怪とは』


この妖怪たちもみんな、
私が助けた妖怪たちだったっけ。


割れてしまった頭のお皿を取り替えてあげたり。

壊れた下駄の新しいのを買ってあげたり。

柿を取ってあげたり。


私にとってはちょっとしたことでも、
妖怪たちにとっては新鮮なことなんだろう。


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