恋が叶うなんて思うなよ。【中編・完結】
ただ、どうしようもなく胸が痛い。
優しく、綺麗な香の変貌ぶりに、心が破れそうだった。
どうして、
こうなってしまったのだろう。
ようやく、香の気持ちが朝比奈に向き、やっと恋人らしくなっていた二人だった。
悲劇は突如、
前触れもなく起こった。
きっかけは、
電車の中のことだった。
「あの人、痴漢です」
香は、整った顔に表情を浮かべることなく、犯人を告げた。
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