お告げの相手は誰ですか?

   チワワの逆襲




右京は、律の出方をうかがっていた。
右京が遅れてきたせいで、律はこの上なくいらついている。
姉の清花がどういう理由で伊集院律を自分のお世話係に選んだのか、少しだけ分かったような気がした。


「初めまして、私は伊集院律と言います」


律は、後部座席でくつろいでいる右京に向かって自己紹介をした。


「伊集院律。
由緒ある伊集院一族の生き残り。
父親は伊集院家に婿養子で入った元レーサー。

伊集院グループは律の祖母の貴子が会長で牛耳っている。
何故だか孫娘の律は自分の会社に入らず“ALLmall”で働いている」


律は運転しながら握っているハンドルに力が入っていた。


「右京さんも暇ですね。
私の事をそんなに調べ上げるなんて」


律はバックミラーで右京の顔を覗き見た。




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