お告げの相手は誰ですか?

   気まぐれなキス





「律~~~~」


遠くから右京の呼ぶ声がする。
律は慎之介からのLINEはとりあえず無視をして、右京達の元へ走って行った。


右京は久しぶりの海に感激していた。
大学の時、その頃つき合っていた彼女にせがまれて江の島まで行ったことがある。
もちろん電車を乗り継いでだが…
今日律が選んでくれた海は、人も少なく砂浜の続く静かな場所だった。


「律はこんな場所知ってるんだな」


右京は優花を抱き上げてグルグル回しながらそう言った。


「運転するのが大好きだから、いつの間にか色々な場所にドライブして行ってるだけ。
ここは、去年の夏に家族で遊びに来たの。
近くに美味しい海鮮丼のお店があるからお昼はそこに行きたい」


「いいね~~~」


キャッキャ叫んでいる優花を海に投げ飛ばすふりをしながら右京はそう言った。

律は右京と違って普通の幸せな家族の元で育っている。
右京はそれが嬉しかった。
平凡な幸せの価値は人それぞれで違う。
右京の平凡は母がいなくなったあの日で終わってしまった。

右京はいつからか平凡な幸せを与えてくれる人を心のどこかで待っていたのかもしれない。



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