君へのラブレター

**



緋色は悪魔だ。俺が想像していたのと違ったが悪魔だ。
だから、女神の奴とはよく喧嘩する。
でも天使とはあまりしない。九尾とは、よく相談に乗っているのを見る。
そして、死神とは仲がいい。
初めてあったときは死神の恋人かと思って随分と呪っていた。
と、言っても俺に大きい力はないのでほぼ実力行使だったが。みそ汁に嫌いな食べ物を入れたとかな。

九尾の家は普通だ。
古びた洋館だとか日本庭園のある家だとか、
言えば用意は出来るとは思うがとにかく普通だ。
ただ嬉しいことに温度は適温だ。暑くも寒くもないと言うわけでなくエアコンがついてる、と言えば良いのだろう。
最適な温度で生きている。
「なあなあ」
しばらく静かだと思っていたこいつが声をあげる。
どうせ本に飽きたのだろう。
「なんだ?」
「九尾迎えに行こう、あ、天使も」
くだらない提案をされると思っていたので、比較的まともな意見に少し驚く。
「なあ、いこーよー」
のしかかるようにしながら騒ぐこいつは俺より馬鹿だと思うのに断れない。
理由もわからないので諦めた。
「ああ、いいぞ」
とにかく今回のは嫌ではないので立ち上がる。
のしかかっているけどそういう意味での悪意もないし、こいつには羽が生えているから転けもしない。
「その尻尾しまえよ?」
3日ほど前に尻尾を出しながら外へ行ったら悪そうな顔をした奴が緋色に絡んできて、
血の海、という表現が合っていた光景はまだ忘れられない。
「もうあんなへましないよ」
信用ならない言葉だが大人しく仕舞ってくれたのでよしとする。
< 3 / 4 >

この作品をシェア

pagetop