おにいちゃんの友達
げた箱までまっしぐら。

速攻靴に履き替えて二人校舎から跳びだした。

空が青い。

こんな日に部活休みだなんて、なんてサイコーなの!

マドカとキャッキャ笑い合いながら校門を出た。

「なんか騒々しいなと思ったら、」

その声に反応して進行方向少し斜め上を見上げた。

マサキだ。

顔がカッと熱くなる。

「今日は部活休み?っていうか今日も休みかよ。」

マサキは私たちを見下ろして、鼻でふふんと笑った。

「っていう、マサキだって今日はえらく早く帰るのね。部活はまさか休み?」

マサキから視線を外して言った。

「あー、俺?ちょっと足やっちゃってさ。」

そう言いながら、マサキは自分の右足首を指刺した。

その足は軽く包帯で固定されていた。

「ま、軽い捻挫みたいなもんだけど、全治2週間だって。」

マサキは笑っていたけど、少し元気がないような表情をしていた。

だって、昔からサッカー小僧だもん。

毎日だってサッカーボール蹴飛ばしてたいような人間。

「お大事にねぇ。」

かなり心配だったけど、ぐっと気持ちを飲み込んでマドカの腕を引っ張って走り出した。

「冷てぇの。」

後ろでマサキが小さく吐き出した言葉が、ちくんと胸に刺さった。

そうだよね。

マサキが多分、他人にはわからないほど落ち込んでるだろうってこと、ずっと見てきた私だからわかること。

・・・だと思う。

なのに、優しい言葉一つかけられない。

だって、しょうがないんだもん。

優しい言葉かけちゃったら、今まで必死に守ってきた自分の鎧が脆くぐずれていきそうだから。





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