おにいちゃんの友達
翌朝、いつもよりも早く目が覚めた。

っていうか、夜も少々興奮気味だったからかあまり寝れてない。

だけど、胸に熱いものがどくんどくん煮えたぎってる。

なんなんだろ、こういう感じ。

中学の頃、バスケで県大会出れるか出れないかの試合の時、よく似たことがあったような気がする。

手早く着がえてリビングに降りていった。

「あら、おはよう。えらく早起きね。応援団、気合い入ってるのね。」

母が驚いた顔でキッチンから振り向いた。

「そう。今日は張り切ってるの。」

「へー、いつもはのんびり屋のマイペースさんが珍しい。何かあったのかしら。」

母はおちょくるように笑った。

そして、慌ててご飯をよそって、お味噌汁を入れてくれた。

「応援団の実行委員長が今日お休みなんだ。だから私が仕切らないといけなくなったの。」

「へー!それは大変じゃない。」

「そうなんだけど。でもやるしかないしね。」

本当にそう思っていた。

「今から急いで目玉焼き作るからちょっと待ってて。」

お味噌汁をすすりながら、普段と違って食欲がないことに気づく。

「なんだかあまりお腹空いてないの。ご飯とお味噌汁だけで大丈夫。」

「これまた珍しい。雪でも降るんじゃないかしら。」

母は目を丸くしてまたキッチンへ戻って行った。

私は昔から緊張すると喉にご飯が通らないタイプだった。

胸がいっぱいっていうか。

そのいっぱいの気持ちが、きっと胃まで圧迫してるんだと思う。

「じゃ、はい、これお弁当。お昼なら食べれるでしょ。たくさん詰めといたから。」

「ありがとう。」

手に持ったお弁当がずっしり重たかった。




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