熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
第8話「九月祭の夜」
9月になって体育の時間は、死ぬほどイヤだったプールがようやく終わり、来たる“九月祭”本番に向けて、フォークダンスの練習がはじまった。

小学生のときは、なんで男子と手をつながないといけいないワケ?なんて思っていたけど、そのときより少しオトナになった今、公然と男子と手をつなぐことができるフォークダンスに胸まで躍る。

それというのも、いつもは一緒にいるところをヒトに見られちゃいけないあたしと航平くんが、おおっぴらに一緒にいられて、そのうえ手までつなぐことができたからだ。九月祭の種目にフォークダンスを用意してくれた学校側のイキな計らいに、あたしは心の底から感謝していた。


なんかアレ以来、いいことだらけ、って感じがする。

純愛の神さま・魚住とと先生のサイン会に行ってからというもの、ついて、ついて、ツキまくっていうような気がしたからだ。


ホント、どんな人にもツキがまわってくるときがあるみたいで、友達からのスタートだけど、それでも航平くんと付き合いはじめてから2週間が経って、そのまま、いまだにツキはあたしにあるみたいだった。

…というのも、九月祭の初日、わが演劇部の発表直前になって突然、部長からの直々のご指名で、本来、美術スタッフの裏方のあたしが急遽、役をもらってナンとみさきちゃんと一緒に舞台に立てることになったからだ。


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