熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
胸いっぱいの幸せというヤツを感じているときでも、そんなあたしのことを冷めた目で見ている、もう一人のあたしがどっかにいて、次の瞬間、幸せな気持ちもフッと、あっけなく冷めてしまうのだ。

人生、一寸先は闇。

無意識だけど…、いつも心のどこかで、あたしはそう思っているような気がする。

あれだけ仲良しだったヒロシくんに裏切られるなんてこと、あたしにはとうてい予想できることじゃなかったけど、現実はいつも予想を裏切る。

だから、あたしは怖いんだ。

何かを信じて、つき進んでいても、あるときイキナリ、ドーン、と深くて大きな落とし穴に叩き落とされてしまいそうで。

だから、イヤがっていながらも内心、臆病で、意気地なしで、情けない女のままでもいいや、なんて思っていたりもする。

比嘉くんとトクベツな関係になれなくても、ただ、遠くから見ているだけでもいいや、なんて思っていたりもする。

今のままでも別にいいや、とはじめから諦めている。

いや、ホントは諦めているんじゃなくて、傷つくことを怖がって、諦めたフリしているだけなのかもしれない。


だけど――――

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