熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
“ピロピロリ~ン♪”


ヘビの生殺しのような生き地獄が、永遠に続くのではないか、と諦めかけていたそのとき、彼からのメールがようやく届いた。


結局、返事がくるまでナンと2時間以上もかかっていた。

だけど、その2時間のタイムラグの理由はメールの内容からすぐに分かった。

彼の自宅マンションの構造上の問題か、それかケータイのエリアの関係で電波状態が最悪で、いつもフツーに圏外状態なんだそうだ。だから2時間以上も前に送信したメールが、ついさっき届いたばかりだったみたい。


彼からの返事が遅かった理由については、しょうがないな…と納得できた。

だけど、待ちに待っていた小説の感想については正直、軽くグサッときた。

『なんかいきなりクライマックスみたいだけど、ここからどうやってお話しがはじまるんだろ?』

コレは彼から送られてきたメール。

まぁ、彼はウソはついてない。クライマックスシーンを送信したのは本当のことだし。


あたし、小説家志望のクセに、ちゃんとお話しが書けないんだよね、実は。


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