ケンショウ学級

罰による電気ショックで寺井くんの身体は無為に弾けながら、その命を閉ざした。

また1人、僕らのクラスメイトが死んでしまった。

「寺井・・・ゆるさねぇ。あいつを殺したヤツを俺は絶対にゆるさねぇからな!」

佐野くんの激昂も虚しく反響して消えていく。あと一体どれだけこんなことをしなくてはいけないのだろうか?

あとどれだけ僕らはクラスメイトの死を見届けなければならないのだろうか?

あとどれだけ・・・僕は生きていられるのだろうか?

「・・・・・・」

ふいにモニターが切り替わりアイツが姿を現す。

「やあみんな、今回の検証もとても有意義なものだったね。まさか彼が最後にあんなことをするとは思いもよらなかったのだけれど、こういうのを「飼い犬に手を噛まれる」って言うのかな?

・・・・・・ああ、いや。この場合は「モルモットに手を噛まれる」かな?」

「モルモットだと・・・てめぇマジで許さねえ!いつまでもそんな所に隠れてないで姿を現しやがれ!俺がぶっ殺してやる」

モニターの前のアイツに向かって佐野くんは怒りに身を震わせながら叫んでいた。

僕はそれから少しして、自分が汗をかくくらいに強く手を握り締めていたことに気が付いたんだ。

「怖い怖い。でもまぁ、そんなに熱くならなくても君達にはチャンスを与えたじゃないか。この実験の前に僕が言ったことを覚えている人はいるかな?」

アイツの言葉にすぐ様反応できたのは委員長だった。

「この教室にいる犯人を見つけ出したら解放される……」

教室がザワつく。

そうだ、目の前のクラスメイト達の死にばかり直面していて忘れていた。

……いや、ここにいる誰もが「クラスメイトに殺人犯がいる」ことから逃げて、考えようとしなかったんだろう?

「素晴らしいよく覚えていましたね」

アイツは画面越しに拍手をし讃えていた。そして一息吐く間もなく言い放つ。その時点で準備が整っていた人は何人いただろうか。

「では、さっそくですが皆さんで「この教室にいる犯人」と思しき人物を指さしてください。

それではいきますよ、さん、に、いち……」

「ちょ、まだ考えてない」

「誰?誰よ?」

「怪しいヤツ、怪しいヤツ、怪しいヤツ……」

皆は一斉に頭を抱えた。その中でも毅然とした態度のままだったのは僕が認識できただけで4人いる。

佐野くん、委員長、中澤さん、そして……

もし本当にこの教室の中に犯人がいるとして、恐らくだけどその人は自分で用意した舞台でわざわざ『混乱するフリ』をする必要は無い。

何故ならたかだか中学生が危機的な状況の中で、切迫される状態で出す答えなど正確性は無いに等しく、もし怪しまれたとしても大多数が同じ人物を選ぶことは考えられないからだ。

「はい」

みんなが思い思いに指をさした。

「分かんないよ、こんなの」

「オレは違うオレは違うオレは違う……」

20人で行われた稚拙な推理の判定に、僕の鼓動が大きく脈を打った。

「ふむふむ。わかれたねぇ。でも1人だけ大人気の人がいるじゃあないか。

ふふふ、得票数が1番多いのは、君だねぇ上杉君」

クラスの判定は僕8票、委員長と中澤さんが2票、各1票ずつがくん、櫻田くん、りょうじ、原田さん、佐伯さん、笹森くん、そして土井垣くんの7人だった。

「ねぇ今はどんな気分だい?上杉くん」


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