ケンショウ学級

「……ちょっ、毎日やめろよ藍斗」

「てか毎日、同じドッキリでここまでのリアクション取れるの凄いよな。春馬」

僕の名前は上杉 藍斗(うえすぎ あいと)。

身長は156センチ、体重43キロ。

容姿はまぁ平凡?勉強は嫌いじゃあないから成績は学校では良い方。

苦手教科は机でしない授業。つまり音痴で運痴。カラオケは下手の横好き、運動は全般的に苦手だけどマラソンだけは中の下かな。

うちの中学は全員部活及びクラブに所属しなければならない校則があり、僕は社会科クラブ所属の中学二年生。

最近はよくテレビで心理学が話題になるから、心理学にも興味を持ち始めていた。

「あれ?春馬、今日はラケット持ってないんだね」

「うん、なんか知らないけど昨日顧問から二年は部活なしって聞いたから」

「二年だけ?なんだそれ」

笹木 春馬(ささき はるま)は僕の親友。いつ頃からだったかははっきりしないけれど一緒に居ることが多い。

身長167センチ。体重は知らないけど、筋肉質で細いけどガッチリしてる。

テニス部の期待のエースってやつで、先月の県大会では三年生に一人混ざって団体戦のメンバーに選ばれていた。

いつも気さくで、僕のおふざけにも笑って付き合ってくれる凄い良いやつ。

短髪で顔立ちも整ってるからモテる。うざい。

しかも自覚してなくて女子からのフラグを笑顔でへし折ってる。うざ……じゃない、うらやましい。

「お、笹木この時間は珍しいな。

朝練どうした?」

「野比先生おはようございます。

なんか今日は二年は部活なしって聞きましたよ?」

校門の前で腕を組み、登校してくる生徒に挨拶をする野比先生は生活指導と体育の先生。

背も高くて筋肉粒々、強面だしこれで頬に傷でもあろうものならヤクザ以外に見られないだろうな。

「あれ?先生左のそれどうしたんですか?」

なんて思ってたらまさかの左頬に張られた大きなガーゼ。この連休に何かあったのかな?

「本当にヤクザだったんですか?」なんて無粋な質問はしないさ。だってそんなことで朝から怒られたくないしね。

「ん?あ、あぁ。ちょっとな」

野比先生はそのガーゼを大きな手で覆い隠し、濁すようにそう言って左反面が見えないように向こうを向いた。

僕にとっては特に好きな先生でもないし、それ以上は深く追及することはなかった。

春馬もそこまで意識していないのか、それ以上は深く踏み込まずに再び歩き出した。

そうして校門を抜け、僕らは二年三組の教室を目指して進んでいく。

快晴の空、西の端に一つだけの大きな白い雲。

風がない、そんな1日の始まりだった。




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