ケンショウ学級

とうとう僕らのクラスメイトが三人殺されてしまった。

野比先生と大上先生を含めたらもう学校関係者が五人もだ。

それもたったの3日で…………

あれ?ちょっと待てよ。

なんで僕は3日だと思っているんだろう。

この教室には時計もカレンダーもない。

携帯もいつの間にか没収されているから、日付を確認することなどできないのに…………

「…………ん、うう」

目覚めると小池っちの寝顔が目の前にあった。

両目から涙が伝った後があることが分かった。

「そうだ、皆は…………」

起き上がり、教室を見回そうとした僕の視点は、ある場所ですぐに止まった。

「紗由理?うそだろ…………

こんなことになるなら、そんな」

眞木さんは椅子の背に身体を預けて力なくぶらりと、上半身を反らせていた。

「眞木…………まじかよ」

違う。

自分で上半身を反らせていたわけじゃないのはすぐに分かった。

眞木さんは。

眞木さんは壊されてしまったのだ。

見開いた目は虚ろになり、焦点が定まっていない。

半開きになった口からはヨダレが自然と垂れている。

「なんでなんだよぉぉぉぉぉぉおっ!!」

眞木さんを抱きしめて寺井くんが叫んだ。

眞木さんに反応はない、おぼろげな瞳は寺井くんさえ見えていないようで。

その耳に恋人の悲痛な叫びも届いてはいない。

佐野くんは目をそらしてはいたけれど、寺井くんの肩をグッと、つかんでいた。

僕は目を背けるように残りの席を見渡す。

小野さんの机の上には白い菊の花が、似つかわしくないほどに瑞々しく咲いている。

そして、昨日犠牲になった中村さんと堀田くんの机の上にも同じように白い菊の花が一輪。

「…………あ、藍斗」

「小池っち、目覚めた?」

「うん、でも、頭痛い」

頭痛?

元々小池っちは風邪もひいたことがないのに頭痛なんて。

どうしたんだろう?
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