キミは空に輝く

(今日はすごい1日になったなー。)


そう考えながら帰り道を歩いていると、


後ろから足音が聞こえて来た。


「六花ちゃん!やっぱり送ってくよ!」


よほど急いで来たのか、


太耀君の息はあがっている。


「太耀君!?いっぱい迷惑かけたし、

今日はもう大丈夫って言ったのに!」


「でも、やっぱりこんな遅くは危ないし、

俺が…送りたかったから。」


最後の方は声が小さくなり、


恥ずかしそうに隣を歩く太耀君を見て、


私の胸は小さく高鳴る。


(やっぱり…私太耀君が好きだな…。)


改めてそう思うと、


今日の公園でのやりとりや


今こうして隣を歩いてくれていることに


淡い期待を抱いてしまう。


(私…太耀君となら、

一緒にいたいって思える。)


自分の大きな変化に戸惑いながらも、


私の顔はほころんでしまう。


「お母さんと仲直りできて良かったね!」


私の表情の理由がそのためだと思ったのか、


太耀君がそう声をかけてくれる。


「あ…うん!全部太耀君のおかげだよ。」


「俺は何もできてないけど、

でも少しは力になれたなら良かった!」


太耀君は満面の笑みで応える。


そうして話をしながら


しばらく歩いているうちに、


家の近くに到着する。


「じゃあ、今日は本当にありがとう!

また明日ね。」


私は改めてお礼を伝え、


手を振って分かれようとするが、


太耀君はなかなかその場を動かない。


「太耀君…?」


心配して声をかけると、


何か決心したような表情で


太耀君が口を開いた。


「今日…公園で言った事…。

あれは本当だから!」


そう言われて、私の頭にその言葉が浮かぶ。


『俺は今…六花ちゃんの

側にいたいって思ってる…。』


思い出して顔を赤くする私に、


同じく赤い顔をした太耀君が告げる。


「そんな風に思ったのも、

手…手を繋ぎたいって思ったのも

六花ちゃんが初めてだから…!!」


太耀君はそう言うと、


よほど恥ずかしかったのか、


勢いよく走り出してしまった。


……。


私は突然の事に、


声を出す事も追いかける事もできず、


その場に立ちすくむ。


(そんな事言われたら…

益々期待しちゃうよ。)


高鳴る胸を押さえながら、


私は遠くなっていく


太耀君の後ろ姿を見つめた…。




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