キミは空に輝く
期待と不安

例年よりも雪が少ないと


みんなが口を揃えて言っていたが、


北海道の冬を初めて体験する私にとっては


十分な雪の量だ。


こんな寒い中、


わざわざお詣りに来る人の多さに驚きながら、


私は神社の前で太耀君を待っている。


クリスマスパーティーの帰り、


初詣に行こうと誘ってくれた時の


太耀君の真っ赤な顔を思い出す。


(私達…いつまでたっても真っ赤だなぁ。

今年は、少しでも進展できるかな…。)


そう考えていると、


前から太耀君の姿が見えて来た。


「ごめん !! 待った !?」


「ううん、今着いたところだよ。」


太耀君の首に巻かれたマフラーを見て、


顔をほころばせていると、


視線に気づいた太耀君が笑顔になる。


「マフラーすごい暖かいよ!ありがとう!」


「私の方こそ、手袋すごく暖かいよ!」


私達はお互いのプレゼントを


見せあいながら、奥へと進んだ。


お賽銭を投げ入れ、


手を合わせてお願い事をする。


(高校合格しますように!

みんなが健康で過ごせますように!

それから…。)


私は一度うっすら目を開けて


太耀君の方を見ると、再び目をつぶる。


(太耀君と、これからも一緒に

いられますように…!)


最後に強く願うと、


私は目を開けてお辞儀をした。


太耀君を見ると、


まだ熱心にお願いをしていた。


やっと目を開けてお辞儀をした


太耀君に声をかける。


「ずいぶん長いお祈りだったね。

どんなお願いしてたの?」


「んー。色々とね…。

それより、この後まだ時間ある?

ちょっと一緒に行きたい所があるんだ!」


笑顔で話題を変えられてしまうが、


願い事は簡単に教えるものじゃないか…


とすぐに思い直す。


「うん、大丈夫だよ。どこに行くの?」


「それは着いてからのお楽しみで!」


私はどこに向かうのかわからないまま、


太耀君の後に続いた。

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