心愛(しんあい)

ソレは、唐突に


修が、死んだ。

登録外の番号からかかってきた電話は、あたしの想像を遥かに越えた事実を告げた。
受話器の向こうの、涙混じりの修の母親の声を聞きながら、あたしはその事実を何度も反芻した。

死んだ。

死んだ?

その言葉はあまりにも非現実的すぎて、心にすんなりと入ってこない。
交通事故だという。修の乗ったバイクに、信号無視の乗用車が衝突した、と。
外傷はほとんどなかったが、頭を打って意識が戻らないままだった、と。
耳から入った言葉が、脳をすり抜けて何処かへ飛んでいく。
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