うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜
「誰と話してんだ?」
と了弥がこっちを見ながら、二人に訊くのが聞こえた。

「梶原さん」
と二人が言うと、

「ああ、コロッケの」
と言う。

 ああ。
 はい、そうですね。

 コロッケの……。

 そのあと、未里になにを言ったのか覚えていない。

 相当訳のわからないことを言ったのだと思う。

 未里が、
『あんた、なに言ってんの?』
と言ったのが耳に残っているから。

 ともかく、なにか言って切った。

 それを見ていた朝日は呆れ、神田は笑っていて、了弥は相変わらず、表情が読めなかった。

「ああ、僕ら此処で気を利かせて帰ったりしないから」
と神田が宣言する。

「呑もう呑もう」
と神田が言い、朝日が、
「さっさと頼めよ、了弥」
と相変わらず、笑顔もなく言う。

「あれっ?
 どうしたの?

 相楽さん、倒れてるよ」
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