秘密 ~生徒に恋して~


「あ、でもさぁ、C組の菜々美がこの前、告ったらしいけど、〝俺、好きな人いるからごめん〟って断られたって聞いたよ」

そんな話、悠也から一言も聞いていない。
しかし、その言葉に単純に浮上してしまう私。


「えーっ?!菜々美って男子に超人気あるじゃん。すっごく可愛いしさ。菜々美でもダメって何それー!」

「ショック~!彼女いるんだ?でも校内で誰かと付き合ってるとか聞かないよね」

「他校かなぁ…大学生のお姉サマだったりして~」

「あ、有り得る!年上好きそうだよね。ね、葉月先生はどう思う?」

「さぁ~…どうなんだろうねぇ…」


(…私に聞かないで!
大学生のお姉さまどころじゃないから。)

女子達に腕を掴まれたまま、私は苦笑いしながら歩いて行く。





「葉月先生、おっはよ!」 

その横を、悠也が明るい声を掛け、風のように走り抜けて行った。

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