乙女は白馬に乗った王子を待っている

なんだ、このハーレム状態は!!


有り得ん!!!


人生はもっと厳しいんだよ、と言ってやりたい。

ドラマとはいえ、美香と自分の人生を比べるとどーんと惨めになるではないか!

ゆり子がブツブツと文句を言うと、さやかはひらひらと笑った。

「ドラマなんだから、美香になった気分で楽しめばいいんじゃない? そんな一々喰ってかかるなんて、大人気ないよ、ゆりちゃん。
 もー、この専務役の山下透ってほんとかっこいいよね。この前も抱かれたい男で3位になってたよ。」

さやかと話してると腰が砕けてしまいそうだ。
イチゴミルクキャンディを口の中に放りながらニコニコしているさやかに返す言葉がなかった。

「ね、そういえば、高橋社長ってどんな感じ?」

社長をこのイケメン専務に重ねているに違いない。さやかの目は期待できらきらと輝いていた。

「それよりさー、さやか、アンタ、マジで仕事とか探さないの?これからどうすんの? 
 ドラマとか合コンとかにうつつを抜かしてる場合じゃないんだよ!
 あたしらお肌の曲がり角もとうに通り過ぎちゃったし、何年かしたらマルコウ出産だよ。少しは危機感持ちなよ!」

「だから〜、合コンで素敵な人見つけて結婚するんじゃないの、ホント、分かってないなあ、ゆりちゃんは。」

……って、わかってないのはアンタだよ!


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