雨音の周波数
 宮本さんはうちの会社の経理担当の人だ。美人で仕事もできる。ただプライベートが謎の人。私は同棲している彼氏がいるのではないかと予想している。

「そう言われても。佐久間さんは私と結婚を考えているんですか?」
「ああ。結構上手くいくと思うんだ、僕たち」
「なにを根拠に?」
「食事が冷えてしまうから、食べながら聞いていいよ」

 そう促されてトマトの卵炒めに箸をつけた。

「去年、ラジオの企画で占い師さんに来てもらったことがあっただろ。小野も覚えているよね」
「はい」

 ネットで話題になっていた占い師さんを、佐久間さんが担当している番組に呼んだことがあった。

 打ち合わせで会社にその占い師さんが来たとき、女性陣――私、町田さん、宮本さん――は占ってもらいたくてしょうがなかったのを覚えている。プロの方に仕事のついでに占ってもらうのは失礼にあたると思い控えたのだ。

「その占い師さんに後日プライベートで占ってもらったんだ。そのとき君と僕の関係も見てもらった。言っておくけど下心ではなく純粋な好奇心だからね。結果は"師弟の二人"だった。こういう二人は結婚するといい人生を送れるらしい」
「えっ? 占いで相手を決めちゃうんですか?」

 佐久間さんが占い好きの思考を持っているとは思わなかった。

「まさか! さっき言っただろう。結婚を考えたら小野が浮かんだって。そのとき占いのことも思い出したって話だよ。仮に占いの結果が最悪でも、僕はここに君を呼んでいたよ」

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