シロツメクサになれたら
哀河はあたしに家族の話をしなかった。最近家に遊びに行くようになって、両親と複雑な関係にあることを知った。
怒田はそれを知っていたのかもしれない。
同じ中学だったらしいし。そのことが、心配だったのかも。
電車が来たので乗る。あたしは携帯を出して、彼氏の連絡先を削除する前にひとつメールを打った。
別れましょうという文章は考えたこともなかったけれど、思うよりすらすらと書けた。
最後に、今までありがとうとつけてみる。
「じゃあ怒田って好きな人いないの?」
「いる」
「誰? あたしの知ってる人?」
「教えないけど、廿楽の知らない人」