ハツカレ


舞台が終わり、お姉ちゃんと慎くんの楽屋へ向かった。


そこには拓ちゃんもいた。
お姉ちゃんが慎くんのそばに行ったので私と拓ちゃんは自然と2人になってしまった。


『…ぁ、おつかれさま!』
距離を実感してしまった事もあり、
何となく気まずくなった私は、そんな言葉をかけるしかなかった。

「ありがとう、舞台どうだった?」

着替えながら言う彼に
なぜか私は答える事ができなかった。

というより、直視できなかった。





今の彼は果たして役者なのだろうか、
それとも1人の男なのだろうか。


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