もう、とっくにあなたに夢中です
一緒に帰るのはいいが話す話題がなく沈黙が続いたまま私たちは、10分くらい歩いていた。

どうしよ…。気まずい…。

「先輩…。」

美少年は、モジモジしながら言った。

「なに?」

「俺のこと、嫌いですか?」

「えっ…。なんで?」 

「なんか、先輩…怒ってる気がして…。」

いやいや、怒ってない!!
何の話したらいいか分からなくなってただけ!

「怒ってないよ。ただ、私部活とか入ったことないから後輩とどういう風に接したらいいか分かんなくて。」

「そうなんですか。じゃあ、俺のこと凛刀って呼んでください!」

「なんで!?」

「部活とかでは、先輩は後輩のこと下の名前で呼ぶんですよ!」

そうなんだ。部活内では、先輩は後輩のこと下の名前で呼んでるんだ。

「分かった。じゃあ、凛刀ね。」

名前を言った瞬間、凛刀は顔を真っ赤にしていた。

「なんで真っ赤なの…。」

「だって、先輩に名前で呼んでもらうの夢だっから。」

凛刀は、照れくさそうにそう言った。

私は、この機会にずっと気になっていたことがあったので思い切って聞いてみた。

「あのさ、ずっと気になってたんだけどなんで私に告白したの?」

凛刀は、微笑みながら語り始めた。

「先輩は、覚えてないかもしれないですけど…。」

「俺が去年、ここの高校の文化祭にきた時にたくさんの女子に囲まれて困っていたら先輩が
ー「ちょっと!男の子が困ってるでしょ!この男の子に構っている暇があるなら仕事してよね!」ー
って言ってくれてすごく助かっし嬉しかったんだ。本当に困っていたから。」


言われてみればそんな事あったような気がする。

「その時も惚れましたし、今も惚れました///」
「今?どういうこと?」

「さっき、俺が先輩の後をつけてたのがバレて困ってた時、一緒に帰ろって言ってくれた。先輩のそういう優しさに惚れたのかもしれません///」

凛刀は、私と目を合わせず下を向いたまま言った。

そして、耳まで真っ赤になっていた。

「電柱から体はみ出ててバレるにきまってるでしょ。」

「そうですね笑」

「とにかく、俺先輩のこと諦めませんから!あと、俺電車に乗って帰るので!さようなら!また明日!」

凛刀は、私に大きく手を振り駅の方まで走って行ってしまった。

どうしよう…。

恋しないって決めたのに心臓がうるさい。

私は、胸に手を添えて心臓の鼓動が治まるよう深呼吸しながら家に向かった。

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