トライアングル
 「いってきます。」
桜井伊織は朝食を済ませ、鞄を手に取り外へとかけていった。
今年中学生にあがる伊織は三人暮らしである。
父の正隆、母の佳織、と一軒家に住んでいる。
伊織は学校では明るく、誰とも分け隔てなく話すムードメーカーである。
勉強もでき、明るい性格から先生たちからも好印象である。
運動も苦手なわけではなく、そつなくこなしている。
そして、大人びた顔立ちで整っているので男子からの人気もある。
それもそうだろう。大学教授の父と薬剤師の母といういわゆるエリートと言われるであろう家庭に育った。
人当たりもよく、近所からも慕われていた。
中学の入学式ということもあり、父と母は休みを取り、入学式へと向かうべく準備をしているところだった。
伊織を見送った佳織は身支度を整えていた。
正隆はと言えば、朝食を食べながら新聞を読んでいた。
「早く支度してよ。」
怒ったようなセリフだが顔は笑っている佳織に正隆は
「まだいいだろ、そんなに焦らなくても大丈夫さ」
と、まだ新聞を読んでいた。
そんこんなで正隆も準備を整え、二人で中学校へと向かっていった。
車に乗り込み、目的地の中学校へ向かうのだが家を出て数10m先の曲がり角を曲がるのだがその付近で見かけない人が二人歩いていた。
「なぁ後ろの二人知ってるか?」
正隆の問いかけに佳織は
「さぁ、誰かの知り合いじゃない?」
と、あまり気にせずにいた。
まぁそうだなと半ば強引に納得させ、運転に集中した。
その見かけない二人はというと、車が去ったのを確認し、桜井家へと足早にかけていくのであった。
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