樫の木の恋(上)
はち


「まさか殿が竹中殿を捨て三成を選ぶとは…。」

清正がそうぼやくのが耳に入った。

秀吉殿と喧嘩してからというもの、十日以上仕事以外の話をしなかった。謝りに行こうにも秀吉殿は謝ろうとすると話を切り上げ去っていってしまう。
何よりも三成が隣にいることが多かった。

しかし、さすがにこのままでは嫌だと思い秀吉殿の腕を掴む。

「秀吉殿!少しだけで構いませぬからお話を…!」

「…手を離せ。話など無い。」

「っ…!すみませぬ…。」

秀吉殿の殺気が全身を覆う。口を開けばその瞬間刀を抜かれてしまうのではないかというほどに。

本当に嫌われてしまった。
そう改めて実感させられた。

それにしても今まで一度も喧嘩をしたことがないから、秀吉殿が喧嘩をするとどういう風に怒るのかは知らないが、秀吉殿の取る態度がおかしい。

そもそも喧嘩したその日、三成を連れて部屋に行ってしまった後からおかしい気がする。

あまり考えたくはないが、三成が何かを吹き込んだのだろうか。
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