樫の木の恋(上)
ふと、気がつくと朝になっていた。座ったまま器用に寝てしまったのだなと反省し木下殿を見るとまだ寝ているようだった。
頭を撫でていると木下殿の目が少しずつ開いた。
「ん……。はん…べえ…?」
「大丈夫ですか?昨日居間の方で寝てしまっていたので、それがしの部屋までお連れしたのです。」
まだ眠け眼な木下殿の頭を撫で続けていたら、木下殿の細い指に裾を掴まれる。
「すまんな…。私のせいで布団で寝れなかったんじゃろ?」
「別に構いませんよ。もう少し寝ていて下さい。」
そう静かに言うと申し訳なさそうにする木下殿。ゆっくりと起き上がり髪の毛を手でとかしながらこちらに向いて口を開く。髪を降ろすと綺麗な女子にしか見えない木下殿に心が小さく鳴る。