溺れる恋は藁をも掴む
 三浦華かぁ……
最初の印象は、人畜無害な奴。

 席が隣になり、話すようになったが、あくまでもクラスメートの一人に過ぎないかった。

 あの頃は、太めな外見。

 挨拶などは笑顔で返すし、愛嬌はある。
クラスメートと穏便に付き合い、輪を乱すタイプではない。

 食べる事は好きらしく、あそこの店のケーキが美味かっただの、バイキングの美味しくて安い店に行ってきただの……
仲のいい女子と隣の席で盛り上っていた。

 俺のバイト先のファーストフードにも来た事があって、ボリュームのあるものばかり注文した。

 授業はちゃんと聞いていて、黒板に書かれていたもんは、全て書き写す真面目な奴。
ノートは綺麗に丁寧な文字を残す、几帳面さは感じた。


 几帳面なのにあれだけ太るのは、体質があるにしろ、どこか自分に甘さがあるのか?とも思えた。

 今なら、可愛いデブのタレントが、デブカワなどと言われ、世間でも認められつつあるが…
あの頃の女子は、痩せたガリガリのような女でも、『太っちゃった。どうしょう?』などと、バカみたいにモデルを意識したように、ダイエットしていた。

 そういう女子達の中で、華に危機感みたいなもんがあったか?どうか?は分からない。

 俺は、そんな女子のどーでもいい話が聞こえてくる度、内心、『くだらねー』としか思わなかったから……

 華は、女子達が言う、女子力というものに、無縁な感じがした。

 そんなことに流されないあいつに、どこか安心感も感じていた。

 人それぞれ。
自分は自分でいい。

みたいな?
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