溺れる恋は藁をも掴む
 はぁ…………もう、連絡ないね。
日は落ちて暗くなりだしたし、もうすぐ夜になる。


 ーー帰ろうーー



 駅に向かって歩いていると、バックの中の携帯が鳴る。



 あっ!電話だ!

 バックから取り出し、誰からなのか画面を見て確認した。




 えっ!!

 嘘


 アキからだ‥‥‥!!!!!


 いつも、アキとはメールのやり取りだった。
初めてのアキからの電話。

 ドキッとした。


 嬉しい!

 この連絡を待っていたんだけど、断られたら、やっぱりショツクだな‥‥‥


 あっ、でも、出なければ切れちゃう!!

 急いで通話ボタンを押す。



 「……もしもし……」

 「もしもし 華?」

 「あっ、うん」

 「ごめんな!
メールには気づいていたんだけど、仕事中でさ、しかもお客様とこだったから、なかなか返信出来なかった。
 今、終わったとこ」

「お疲れ様、アキ」

 「はい、お疲れさん。
今からで大丈夫か?」

 「えっ!?」

 「今夜、会いましょう」

 「えっ?」

 「電波悪いの?
聞こえてる?
今からでもいいか?」

 「今から?」

 「なんだ予定入った?」

 「ううううん……
全然、入ってない!」

 「あっ、なら、大丈夫なんだな。
今から30分後に噴水公園な!
この間の場所で」

 「あっ、はい!」

 「急ぐから、電話切るぞ。
後でな」

 「あっ、うん」


ツゥーツゥーツゥーツゥーツゥーツゥーツゥーツゥー



 暫く切れた携帯を耳に当てたまま、呆然とていた。
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