溺れる恋は藁をも掴む
 「落ち着いたら、
みんなのとこ戻る?
それとも帰る?」

 私に優しい言葉を掛け続ける誠治さん。


 「今日は……帰ります。
ーーごめんなさいーー」

 「じゃあ、駅まで送るよ。
無事に着いたら連絡くれる?
心配だから」


「えっ?!あっ………はい」




 私達は連絡先を交換した。

 驚いたけど、チャンスの女神っているんだね?

 戸惑いながらだったよ。
男の人からどんな理由にせよ、連絡先を聞かれる事も奇跡なんだよ。




 「着いたら連絡してよ。
メールでもいいから」

 「はい…」




 「華ちゃん、
自分のカラーって大事だよ。
どんな自分でも、曲げないでカラーを出し続ける。

 沢口の奴はさ、悪気はないけど、考えなしって言うのは、華ちゃんの言う通り。
それを分からせてやる人が居ないのは、あいつを可哀想な奴にしちゃう。
 でも、俺は言いたくても言えなかった。

 ーー勇気ないんだーー

 顔色ばかり伺うビビリ。
それに比べたら、華ちゃんは凄いよ!
自分のカラーを大事にする人。
そんな人、俺、好きだな……」





✾✾✾


 ーー耳を疑いましたーー

 私を好きって、今、言った?
聞き間違いですか?


 こんなに捻くれて、無様な泣きっ面のおデブちゃんを好きって言うの?

 勿論、恋愛感情なしの人として前提ですよね?


ハイ、多分そちらですよね…
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