溺れる恋は藁をも掴む
 待ち合わせの時間より、五分くらい早く来て、待っているのが好き。

 待たせるより、断然、待っている方がいい!

 待っている間に今日の1日をいろいろ妄想する。

 二人で会える時間。
 一緒にプレゼント選んだり、ランチ食べたり……

 誠治さんに気に入られたいという、思いが馳せる。

 ドレッサーの中で一番気に入っいる服を選んだ。

 なるべく太めな身体が目立たない、ふわっとしたワンピース。

 人それぞれの好みはあるだろうけど、私は世の中に森ガールというものが流行り、嬉しく思った。

 森に居るような癒し系な女の子をイメージした洋服はゆったりめに作ってあり、また、デザインなども可愛い。

 不思議な国のアリスのような服に憧れはあるが、正直、太め女子にあの格好は痛い気もする。
 それに似たようなイメージで作ってある洋服が、森ガールファッション。

 多少のおデブガールでも、サイズを余り気にしないで着られる。


 太っていても、可愛い服は着たい!
不思議の国のアリスになりたいのだ。

 あんまりフリフリなレースは、男性ウケしないのも知っている。

 でも、おデブちゃんには限られたお洒落しか出来ない……

 なるべく、フリルは避け、襟元に白いリボンが付いていて、裾がバールンのように広がる紺のワンピースを着た。

 あとは、1日歩いても大丈夫なように、ヒールのない靴を選び、メイクはナチュラルに。

 髪は森ガールを意識して、カチューシャで前髪をポンパドールスタイルにしてから止めて、胸まで伸びた髪は軽く巻いてみた。

 お姉ちゃんから貰ったCOACHのバッグを手に下げ、今日のデートにいざ挑む。
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