これを『運命の恋』と呼ばないで!
空の彼方へ
翌日からは目の色を変えて仕事した。

青空先輩はいつもの様に私の前に座って、残務整理と引き継ぎ作業をしている。

この風景も残り3週間ばかり。

4週間目からは隣の人が私の前に座る。




「ねぇねぇ、ナッちゃん」


クイクイと右の袖を摘まれた。


「何ですか?汐見先輩」


書類片手に視線だけ送る。


「あのこと、空君に確かめた?」


ボソボソと小声で囁かれる。


「あのこと?」


きょとんとして聞き返した。


「ほら、ナッちゃんをどう思ってるかって」

「ああ、ソレですか」


思い出して納得する。

汐見先輩は勘違いをしてる。
青空先輩が私を心配そうに見ていた…って。


「それなら答えは決まってますよ」


私のことはキライ。
無能で物覚えが悪くて、疲れるからだと言われてる。


「汐見先輩が思うようなことだけは絶対にないと思います。それだけは自信を持って言えます」


胸を張って答えた。
「そんなことないはず」…と言われても、私はそうとしか思えない。


「それよりもココ、ちょっと教えてもらっていいですか?」


本来、私の指導者は向かい側の人。
でも、教え方が上手いのは右隣の女性。




「……そっか、なんだ。思ってるよりも単純なことだったんですね」


青空先輩の教え方では頭に残らなくて取り違えてばかりいた。


「それが理解できたらこっちも同じ様なやり方でできるわよ」


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