これを『運命の恋』と呼ばないで!
「何って、飛行機酔いしてグロってた。今朝になってようやく体調が戻ったから軽い観光をしてただけだけど……」


何も悪いことなんてしてねぇよな…と若山の方を振り返る。
コクコクと首を縦に振る若山を確かめて、もう一度、何事かあったのかと聞いた。


「空君達が乗ったかもしれない飛行機が墜落したってニュースが流れて、こっちでは大騒ぎになってるのよ!!」


「何だって!?」


俺の声にビクついた若山は、「どうしたの?」と不安そうな顔を見せた。


「幸いなことに夕方のニュースで空君達が生きてる可能性があるって速報が流れてきて、皆も希望を持ち直したところだったの。
そこにナッちゃんはいる!?いるなら声を聞かせて!!」


大声で怒鳴る汐見の言葉が聞こえたらしい。

若山は自分から手を伸ばし、オドオドしながら電話に出た。



「汐見先輩……」


声を聞くなり、汐見はオイオイ…と泣き始めた。


「どうしよう。先輩泣き出しちゃった……」


困り顔でいる若山と電話を代わった。


「汐見、とにかく俺達は生きてるから安心していいよ。オフィスに残ってる連中にも生きてることを伝えといてくれ。
俺はこれから家族や社長に連絡を取る。部長にはお前から連絡をしておいてくれると助かる」


「……うん、分かった……」


鼻を愚図らせながら電話は切れた。

やれやれ…と息を吐く俺の横で、事態の重大性を知らない若山はハトのように丸い目をしてる。


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