わがまま姫の名推理
第1章



「ちぃちゃん!怪盗乱魔って知ってる?」



あれから3年。


あたしはウサギの両親に引き取られた。


つまり、ここの家の子になった。


名字は三崎のままだけど。



あたしは暇さえあれば、書斎へ足を運び、読みたい書物を手に取る。


ちなみに、ここの書物は先月読破した。


読破するまで3年……


少し長かったか。



で、忘れるとこだった。


いつものように書斎で書物を読んでいると、ウサギが突然部屋に入ってきた。



「怪盗乱魔か?知っているが……」



というか、知らないわけがない。



怪盗乱魔。


あたしの中での天才。


あたしがここに来るようになったのと同時に活動開始。


ようやく、最近になってよく騒がれるようになってきた。



『なにも盗まない脱出の天才』と。


本当にその通りだと思う。



「じゃあさ、僕たちのお父さんが乱魔を追ってるのは知ってる?」


「そうなのか……?」



この問いかけには思わず顔をあげてしまった。



「どう、ちぃちゃん。興味持った?」



持ったもなにも、乱魔を自分の手で捕まえてみたいと思っていた身だ。



しかし、ウサギの顔を見ると、ニヤニヤしている。


なにかあるな。



「……なにが言いたい」


「僕たちも捜査に参加できることになったんだ」


「本当か!?」



あたしはついウサギに顔を近付けた。

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