わがまま姫の名推理
最終章




半年後、新田海と櫻井滋が出所するという情報が入った。


実際、正広に聞いただけだが。



あたしたちはすれ違わぬよう、彼らを待つ。



「あれ?みさきちゃん?」



運が良かったのか、櫻井滋と出会うことができた。



「こんなところでなにしてるの?住吉雪兎くんも」



どうやらウサギのことも知っているらしい。



当然といえば当然なのだが。



「少し話があってな。新田海は?」


「海ならもう少し後に出てくるんじゃない?」


「そうか」



ならば、ここで待っていよう。



「みさきちゃんさ、何考えてるわけ?」



櫻井滋も待つらしく、あたしたちがいる影に入ってきた。



「どういうことだ?」



質問の意味がまったくわからない。



「だってさ、いつも僕たちの1つ上のこと考えてるじゃん?だから不思議だなぁ、って思って」



そういうことか。



「簡単だ。予測しているだけだ。しかし空海がいるだけあったな。作戦がハッキングできなかった」


「空海は世界のトップクラスだからね」



それはあたしも知っている。



しかし、成瀬一弥は乱魔で、新田海は空海。



櫻井滋は……?



「お前はなにを担当していたのだ?」


「はは、お前呼ばわりかぁ……僕は情報屋だよ。通称Sだね」



……こっちもこっちで素晴らしいことで。



「僕たちが頑張っても、一弥があんな感じじゃん?なんていうか……宝のもち腐れ?才能の無駄遣いだよね、みんな」


< 95 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop