俺様彼氏はShy Boy?


瞳を閉じてもう一度深呼吸をして、海斗がいるであろう非常階段を見上げた。


音を立てないようにそっと階段を上がっていくと。


「…いた」


その先に、海斗の背中が見えた。


ドクドクドク…

音にしたらこんな感じに、あたしの心音が身体中に響いていた。

口から心臓が飛び出してしまうんじゃないかと思うほど激しい鼓動に。

あたしの身体まで震えていた。


何を話したらいい?

どんな風に話しかけたらいい?

海斗はこんなウジウジしたあたしなんかと話をしてくれるのだろうか。

ここまできて、またマイナスな自分が顔を出しては邪魔をする。


未来の絶交宣言。

こんなあたしにイライラして、あたしが前に進めるようにと突き放した。


あたしがこうやって学校に来れて、みんなと一緒に笑えていたのは。

未来のおかげなのに。

その未来を苦しめていたことが、悲しかった。


あたしが何も話さないから、未来はずっと話せずにいたこと。

心の中に隠したまま、あたしの隣でいつも笑ってくれてたこと。


あたしが、海斗のことから逃げたくて笑顔を作ってたことを知ってたのに。

あたしは、未来の笑顔のウラで苦しんでいたことに気づいてあげられなかった。


未来はいつも、どんな気持ちであたしの隣で笑っていてくれたのだろう。


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