よるのむこうに
9、大黒柱、返上

信じられない……。
窓を開けっ放しで、カーテンも開けっ放しで、昼間っから、こんな。



天馬は私の膝に手を当てて、私の膝の腫れを指先で押したり、膝裏に手を這わせて筋や骨の感触を確かめている。


「……こっちの膝だけ、すげえ熱いな。……柔らかいし……痛いか?」

私は天馬にむしられたTシャツを顔に当てて彼をにらんだ。

恥ずかしいッたらありゃしない。
土曜日の昼間っから窓を開けっ放しであんな。あんな事を!

いっしょに暮らして二年にもなる私達だが、実は明るい場所での行為は初めてだった。
今までの彼は昼間はそういう気分にならないほうだったし、そもそもそれほど頻繁にするほうでもない。


「ヤダっていったのに……」


私は顔に手を当てて足をじたばたと暴れさせた。恥ずかしい。今までこんなに明るいところで天馬に体を見せたことはなかった。
私は若くないしモデルでもない。腰のところに謎のシミがあるし、いろいろと年相応にくたびれた女だ。
二年間絶対に油断したところを見せたことはなかったのに今になってこんな明るいところで、こんな……!

羞恥に耐えられなかった。顔が熱くてまともに天馬の目を見ることが出来なかった。
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