よるのむこうに

あまりの暴言に私は何も言い返すことができなかった。

完全に私の世話がついでになってしまっている。
病院で貰った冊子に書いてあったリウマチの本には患者の家族も患者も無理をせず、一人で悩みを抱え込まないとかいろいろ書いてあった。つまり大抵の患者の家族と患者は介護で悩んだり困ったりしちゃうわけだ。


でも天馬の「介護」は何か違う……!
抱え込むどころか前以上に好きに振舞って私を振り回して……介護っていうか、これじゃ無職二人が毎日いちゃいちゃしてるだけじゃないか。

これは駄目な生活だ。


天馬の介護も私の療養も……うまくいえないけど私が思っていたのと違いすぎる。

これが休職手当てを受け取りつつすること?そりゃ、休職期間にセックスしちゃいけませんなんて注意は受けていないけど、でもなんかこう…………不謹慎!そう、それだ。
悪いことはしてないけど自由すぎるこの感じ。駄目な気がする。
少なくとも人は病気になったらもっとこう、周囲の優しさに気付き、命があるということに感謝しつつ謙虚に生きていかねばならない……ような気がするのだがそれは間違った病人イメージなのだろうか。

私はすでにTシャツを脱いで風呂に行く気満々の天馬を呼び止めた。

「ねえ天馬、病気で休職中の人間が昼間っからお風呂でそんな、……駄目じゃない?不謹慎でしょ。世間の皆様は一生懸命働いているのに」

< 129 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop