先生。あなたはバカですか?

私は今、とんでもない事をしているんじゃないだろうか…。


「何か飲むか?缶コーヒーならあるぞ。」


先生の部屋のソファーに座り、緊張で小さくなっている私とは対照的に、先生は平然とした態度で冷蔵庫の中にあった缶コーヒーを私に見せてくる。


「大丈夫です。何もいりません」


部屋の中に先生の気配を感じるたびに、


先生のあの香りがしてくるたびに、



つい2、3分前の自分を酷く後悔する。



いくらなんでも、この人の部屋に入らなくてもよかったのに…!


私一体何をやってるのよぉぉ…!



「まぁ、そう緊張するなよ。誰も取って食いやしねぇって」


「…!べ、別にそんな事思ってるわけじゃありませんっ!」


「ふーん?そう?」


先生は、挑発的な笑みを浮かべながら私の側までやってくる。


私の座っているソファーが、ギシッという音を立てて軋む。


私の隣に、先生が座ったからだ。



それだけで、可笑しくなってしまったんじゃないかと思うほどに、心臓が早い鼓動を刻み出す。
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