先生。あなたはバカですか?

……もしかして……。


「……テレているんですか?」


先生の顔を覗き込めば、


「……ばっ!!んなわけねーだろっ!!」


そう言って先生は、私の顔面をバシッと手で覆ってくる。


痛い……。


「お前、これから予備校の後は、俺んちで勉強会な」


「は!?」


驚いて手を押し退けると、すでに先生はいつもの先生に戻っていて……。


大人っていうのは、こうも簡単に感情をコントロール出来ちゃうものなのね。


と、さっきまで可愛いとさえ思っていた人間が、急に憎らしく見えてくる。


「無理ですから!そんなに頻繁にこんなこと、出来るわけないじゃないですか!!」


「じゃあ、金曜日だけ。それならお互い次の日休みだしな」


「そ、そういう事じゃなくて…っ!」


「なんだよ。一緒にいたいって言ったのはお前だろ?」


ニヤッとした顔を向けてくるこの不良教師。


……危うく騙される所だった。


これのどこが純粋なんだっ!!!!


「勉強しながら、一緒の時間も作れる。我ながらナイスアイディア。あ。もうコレ決定だから」


「なっ…そんな勝手に…!」


「あーこれから金曜が楽しみだー」
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