先生。あなたはバカですか?
頭の後ろを掻きながら、少しバツが悪そうにそう言う川島君。


「大丈夫。もう3年も前の話だもの。私の気持ちもあの頃とは違う」


「…そうかな?3年て長いように感じるけど、人の心が変わるには短い時間だなって思うよ」


「……え?


川島君は、風になびく私の髪をすくい上げると私の耳へとかける。


「俺は生田さんへの気持ち、3年間何一つ変わってないからね」


そう言って、柔らかく微笑んだ。


「……っ」


「なんてね。生田さんが、あの人を思い出して感傷に浸る前に牽制」


「川島君…」


「生田さんの中、俺でいっぱいになればいいのに」


真っ赤になって何も言えなくなる私の頭をポンポンッと叩くと、川島君はまた前を歩き出した。


川島君は、この3年間変わらず私を好きでいてくれていると言う。


先生を想って、川島君の前で泣いた事も何度もあった。


私は先生を忘れるつもりはないから、川島君の気持ちには応えられないと言った事も。


それでも川島君はずっと私の側を離れなかった。



近頃思うんだ。


川島君の気持ちに応えられたらどれほど幸せだろうって。


この先、もしも先生以外を想う日がくるのなら、川島君がいい。


誰かとまた恋をするのなら、川島君以外は考えられない。
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