“Three Years”isn't so long
「すごいね、界人は。頑張ってて、本当にすごい」





闇の中、彼の顔を見ずに済むというのも、確かにあった。





それでも自分で驚くほど、するりと言葉は口から転がり出て来た。





界人の顔がこちらに向くのを、気配で感じた。





「界人が頑張って前に進んでるのが、私、今すごく嬉しい」





──それは、傲慢で身勝手な感情だ。





ちっぽけな私なんかの言葉に、本来意味なんてありはしない。





意味を持たせてくれたのは、界人だ。





でも、界人が私の言葉で頑張ってくれていた事実は、震えるほどに嬉しかった。





界人が「私のおかげ」と言ってくれる。界人という大きな存在が、私を肯定してくれている。





だから、私が存在している。そうであるとすら、胸を張って今は言える。





──私の左手が、ぎゅうっと強く、握られた。





「今の界人、カッコ良い。どんどん前に進んでる界人、すごくカッコ良いよ」





初めて──生まれて初めて、界人を褒めた。眩しすぎる界人を、心から肯定した。





その感情は、「好き」とは全く異質の物である気がした。





爛々と煌めく彼の歩みを私なんかが止めるのは、決して許されない。そう思った。





だから。





「だから──無理しないで、頑張って。応援してる」





…そう言うのが、精一杯だった。
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