誠の誓い
伊東が九州に行ったり、宿舎が変わったり

御陵衛士になっても、落ち着かなかった




「縁、どうして副長に連絡を入れない」


「斎藤さんが入れてるんだろ?
俺から報告することなんて、特にない」



「心配してたぞ」



「心配される出来事もねぇよ」



実際、これといったことは、なかった

あったとしても、連絡を取るつもりは

なかった

斎藤が役目を果たすだろう

と、考えていたから




「沖田は、寂しがっているようだぞ」


「そう 仕事だから仕方ねぇだろ」




素っ気ない物言いに不思議だったが

それもそうか、と納得した



監察方でも、縁は優秀な方で

こうして間者の役目を担う立場


考えあってのこと


斎藤は、それ以上言わなかった
















それは、梅雨明けのカラリとした夜のこと






その日は、月明かりが綺麗で

縁は、その明るさを頼りに

屋根上を走っていた


藤堂から鶴里への文を渡して、帰っていた


キィーーン


聞こえた金属音が気になり

そちらへ行くと、永倉と沖田が乱闘をしていた


見るからに、沖田が体調不良なのがわかる


幸い


忍服で、顔も隠している


少し迷ったが


屋根から降りて、加勢をした


沖田組が捕縛完了した頃

永倉達は、逃げた者を追っていた


気になり屋根上から、後を追った



(永倉さん…どうしたんだろう)



永倉を見つけ、屋根から降りた


「会いたかった」


そう言って、永倉は縁を抱きしめる


「会ってたじゃないですか」


斎藤の策略で度々、すれ違い

久しぶりではなかった


「元気そうだな」

「まぁ」



永倉から離れようと胸を押す


腕の力が緩められたと思ったら


顔を隠す布の上から、口づけをおとされた


布ごしにもわかる唇の温度で


永倉と唇を重ねているんだと


理解できた



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