誠の誓い
祝い酒
新選組の祝宴に招かれた伊東のお伴で

島原へ




伊東と近藤が話に夢中になっているとき

2人に気づかれないように



「斎藤さんからです」



と、付け加え土方に文を渡した






土方が、物を言いたげにしたが

すまし顔で、他所を向かれ

言えなくなった



酒が進むと、原田と永倉が

いつものように、暴れ出し



それを微笑んで見ていた




「伊東さん、ちょっと外行きますね」


「ええ どうぞ」






縁を追うように、土方が部屋を出る





「お前… 何か、悩みでもあんのか?」


土方からの質問に、目を丸くした



「どう考えたって、おめぇ
裏切るような奴じゃねぇし
それに…この前の伊東さんもおかしかった
やたら、3人を新選組に帰したがってよ
何かあったのか?」



「……悩んでたのは、事実です
あのままだと、間者とバレるのは
時間の問題でしたからね
今は、斎藤さんにも嫌われて
尻拭いも必要ないので楽ですし
お蔭様で、伊東さんの小姓です
情報も仕入れやすいですよ ふふっ
斎藤さんの文
俺の文句でしょうね
平兄ちゃんとも、距離を置いてます
間者だと言ってしまったので…」



「読んでみる」



土方が文に目を通す間


伊東からの指示を思い出す




「確かに… 不満そうだな…
裏切られたと書いてある」


「とりあえず
斎藤さんにも言わないで下さい
面倒なので」


「わかった
……縁 
多分、勘違いじゃねぇと思う
伊東さんとお前、仲良いだろ」


「悪くは、ないですね
あの喋りには、むかつきますけどね」


「やっぱりな…
前にここで襲われたとき
お前を助けに行ったのは、伊東さんだった
思い出すと、ここぞというとき
いつも伊東さんが助け船出したり
俺達に指示したりしてた
どれほどの仲なんだ?」


「小姓になるくらい…かな」


「……言えよ」


「ふっ 皆に言えないことが
伊東さんには言えた…そういう仲です」








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