誠の誓い
屯所に戻ってから数日たっても


何も考えられなかった



謹慎になったときのように



話し掛けられても、会話が出来なかった





「縁さん!!お久しぶりですね!!
洗濯物干すの、手伝って下さいません?」





ニコニコと詩乃が言う、黙って差し出された着物を受け取る


同じ女子でも、詩乃より背が高いので

余裕で干していく



「ありがとうございました!」



その日、夕餉の後

永倉の部屋に呼ばれて行くと

みたらし団子があった



「月命日だ!
詩乃がよ…縁の事、心配してたぞ!
だから、ごめん!由縁の事、話した
そしたら、これからは
詩乃がみたらし団子作ってくれるってよ」



いつも由縁の事を話す永倉が


この日だけは、黙って団子を食べた




「永倉さん…
いつも、ありがとうございます」





やっと、喋れた


にっこり微笑んで、永倉の部屋を出て




中庭の縁側に腰を下ろした










「縁さん……どうしたの?
どこか、痛むの?
あの… どうして、泣いているの?」


「うるせぇ……」


そう言って、夜空を見上げる



ストンと横に座り、詩乃が縁を抱きしめた




「男の人が泣くの初めて見るので
どうしてよいのか、わかりません!
でも、こうしてていいですか?」



詩乃の質問には、答えず



泣いた









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