背伸びして、キス


どんな思いでこれを用意してくれてた・・・?
どんな思いであの日あそこで待ってた・・・?




「・・・っ、・・・ぅ・・・」




声を殺して顔を俯かせ落ちてくる涙で膝を濡らす。





失くしてからいつも気づく。






いつだって俺は、なにもできずに。
終わった後で、それを知る。




いつどこで、判断を間違えたんだろう。
あの時、「側にいて」という広美の言葉を振り切るべきだったのか。

あの時、一華のもとに事情を話しに行くべきだったのか。


あの時、そもそも電話に出なければよかったのか。





俺は、どこで間違えたんだろう。





どの選択が、一番誰も傷つけずにすんだんだろう。




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